7月10日はウルトラマンの日

51年前の今日、ウルトラマンがテレビに初登場したと言うことで、7月10日はウルトラマンの日だそうです。(キリのいいところで、去年に書きたかったな…)

 

実は、結構筋金入りの特撮ファンでして、中でもウルトラマンは今でも、たまにDVDで見返すほどに好きです。

最近、子供に付き合って見ていたはずのお母様方が、すっかりハマってしまう仮面ライダーや戦隊ヒーローに比べて、ウルトラマンは未だに(良くも悪くも)お子様向けのレッテルを貼られ続けてる感があります。

そこで、今回はそんなイメージを覆すであろう、シリアスなストーリーを幾つかご紹介したいと思います。

ウルトラマン「故郷は地球」

この回に登場する怪獣は、ジャミラ

何故かジャミラは、特撮に興味のない人々からも知名度を得ていて、最近はCMでもエプロンをかけた不気m…いや、可愛い姿を見かけた。

体操服を頭まで引っ張り上げて、真似をした記憶を持つ方も多いのではないだろうか。

そして、ここまで知名度を得ている要因は、あのインパクトのある見た目だけではなく、そのストーリーにもあると思われる。

あらすじ

某国の宇宙飛行士ジャミラ・ミラーは不幸にも、宇宙空間で遭難してしまう。
彼の故国は、救出を断念。あろうことかその事実までも隠蔽しまった。
そして、どこか地球とは全く違う環境でどうにか生き抜いたジャミラは、恐ろしい姿になり、自分を見捨てた地球人に復讐するため戻ってきた。

 そう、ジャミラは元人間である。

そして、その事を知った科学特捜隊隊員イデの葛藤。

科学特捜隊パリ本部からの「ジャミラの正体を明かさず、怪獣として葬り去れ」との非情な指令。

結局ジャミラは、人間とウルトラマンの手によって葬り去られてしまうのだが、その最期が壮絶で、赤ん坊の様な鳴き声をあげながら息絶えるジャミラは、何人の子供達にトラウマを植え付けただろうか。

ラストシーンに、監督のアドリブで付け加えられたと言う、イデの怒気をはらんだセリフもに、腹の底がずーんと重くなる。

 

DVD ウルトラマン VOL.6

DVD ウルトラマン VOL.6

 

 

ウルトラセブン「ノンマルトの使者」

前作であるウルトラマンは、実は一部で批判があがっていた。それは、ただ人間にとって脅威であると言うだけで、悪意があるわけではない怪獣が殺されてしまう事に対するものだった。

それを受けて、「ウルトラセブン」は勧善懲悪モノにしようと、敵を宇宙からの侵略者に絞ってスタートした。

しかし、放送も終盤に差し掛かったこの回で、驚きの展開を迎える。

あらすじ

ある日、ウルトラ警備隊のアンヌとダン(ウルトラセブン)の目の前で、海底開発センターの船が爆発し、その海底施設も何者かによって壊滅させられてしまう。

アンヌはその直前、事件を予告した少年と出会っていた。

現場近隣の学校などを捜索するが、一向に見つからない。

 しかし、その頃ウルトラ警備隊の基地に、その少年から、海底開発をやめさせろと連絡が入る。

少年曰く、「海底はノンマルトのものだから」と。

そのメッセージを聞いたダンは、困惑する。

彼の故郷ウルトラの星では、地球人の事をノンマルトと呼ぶのだ。

では、彼が守ろうとしている地球人は一体何者なのか…。

これは、善と悪が曖昧になったという程度の話ではない。

現在、地球上に暮らしている人類こそが、先住民ノンマルトを海底に追いやった侵略者だったという話である。

その事実を突きつけられながらも、ウルトラ警備隊ウルトラセブンは、ノンマルトと闘い、全滅させてしまうのである。

勝利後にキリヤマ隊長が叫ぶ「これで海底も我々人類のものだ!」というセリフも、狂気でしかない。

 

DVD ウルトラセブン Vol.11

DVD ウルトラセブン Vol.11

 

 

帰ってきたウルトラマン怪獣使いと少年

 この帰ってきたウルトラマンは、僕が一番初めに見たウルトラマン(実際にはシリーズ4作目)であり、そういう意味で最も思い出深い。

当時、田舎にあるレンタルビデオ店の品揃えなんてたかが知れていて、ウルトラマンが戦うシーンだけを集めたビデオが数本といった程度だった為、夜中に行われた再放送を録画して、それこそテープが擦り切れるほど見た。

あらすじ

河原で必死に穴を掘っている少年。

街では、彼が宇宙人だという噂が流れ、心ない人たちが、彼に酷い仕打ちをする。

地球防衛チームMATが、少年のことを調べると、間違いなく地球人であった。

少年が暮らす廃屋を訪れたMAT隊員 郷(ウルトラマン)は、そこで地球の汚れた大気によって激しく消耗した老人姿の宇宙人を見つける。

自分で宇宙船を呼び出すことの出来なくなった彼の代わりに、少年は河原のどこかに埋まっているそれを探していたのだ。

話を聞いた郷は、少年と一緒に宇宙船探しを始めるが、そこに人々が押し寄せ、遂に老人を射殺してしまう…。

 これは「偏見」と「差別」、そして「群集心理」の話だ。

「変な噂が立つのが嫌だ」とパンを売ってくれないおばさん。

少年が作ったおかゆをブチまけ、下駄で踏みにじる不良少年たち。

そして、それを文句も言わず拾い集めてなべに戻す少年。

何もかもが衝撃的だった。

 

 

DVD帰ってきたウルトラマン Vol.9

DVD帰ってきたウルトラマン Vol.9

 

 

 

以上、ファンの間では有名な3本をあげて見ました。

ウルトラマンが怪獣と闘うというお約束を除けば、ハードSFとして十分広げられそうなストーリーだと思う。

子供向けにしては重すぎるかも知れないが、それでも当時の製作者たちの中には、間違いなく子供たちに向けたメッセージがあった。

これをきっかけに、少しでも古い特撮に興味を持ってもらえれば幸いです。