音楽はただ音楽であってくれと願う
RADIOHEADが、7月19日にイスラエル公演を予定している。
それを取りやめるように、アーティスト・フォー・パレスチナ UKという団体から要請があり、注目を集めている。
RADIOHEADはその要請を受け入れず、そのまま公演は行われる見通しだ。
アーティスト・フォー・パレスチナUKの言い分は、「依然アパルトヘイト政策が行われている国で公演を行うという事は、その国が他の国と同様に"正常"であると世界に誤った印象を植え付ける手助けになってしまうと言う事」で、「アパルトヘイトが終わるまでは、イスラエルでの文化的行為はボイコットすべき」というものらしい。
そういうものなのだろうか。
正直、どちらの行いが正しいのか分からない。
分からないが、ボイコットする事でアパルトヘイト政策を廃止する事にどう貢献するのだろう。
一方、RADIOHEADのフロントマン Thom Yorke(トム・ヨーク)は、Twitterでこうコメントしている。
「ある国でライヴをすることで、その国の政府を認めることにはならないのです。政権が移り変わるなか、20年以上にわたって僕らはイスラエルでライヴを行ってきました。そのうちの政権の一部にはよりリベラルなものもありました。アメリカも同様です。ネタニヤフを支持しないのと同様、トランプも支持していませんが、僕らは今もアメリカでライヴをやっています。音楽、芸術、そして学術分野は境界を越えるものであり、境界を作るものではありません。広い心を持つべきであり、狭量なものではないのです。人道、対話、表現の自由を共有するためのものです。これではっきりとすることを願っています」
RADIOHEADのファンだからという事を差し引いて考えたとしても、この発言の方が納得できるのだが、どうなんだろうか。
仮に、仮にだが、彼らがイスラエル公演の中でアパルトヘイト政策に言及して、その廃止を訴えたとしたら、それでもボイコットの方がより良いやり方なのだろうか。
渦中にいるパレスチナの人たちは、ボイコットされる事で救われるのだろうか。
以前、Thom Yorkeは日本のニュース番組の中で、「音楽とは究極的に、自分を無にする事」と話していた。
その時は、彼が書くメッセージ性の強いと思われる歌詞についての事だったが、政治的な問題においても、音楽はだだ音楽であって欲しいの思うのは浅はかなんだろうか。