鼻血の事なら俺に聞け
鼻血の事なら俺に聞け。
人生で唯一、誇らしげに言えるセリフかもしれない。
それくらい鼻血は出してきた。
転んで鼻をぶつけては、鼻血を出し、
鼻をホジホジしては、鼻血を出し、
鼻をかんでは、鼻血を出し、
学校にこっそり持ってきたおもちゃを見つかっては、鼻血を出し、
果ては、何もしていないのに鼻血を出してきた。
弱点は?と聞かれれば、鼻の粘膜と即レスするほどに、鼻血を出してきた。
アレヨアレヨと言う間に、鼻血経験値は増大し、小学校高学年になる頃には、鼻血エキスパートを自負していた。
鼻血エキスパートの手にかかれば、ティッシュペーパーなど不要である。
鼻血が鼻の内側面を滴るより早く、じわりと出血した時点で、血の匂いを感知できた。
そして、脊髄反射的に親指と人差し指で、小鼻を摘む。
後は、血が固まるまで待つだけだ。
止血の基本は、圧迫である。
学校での鼻血イベントは、かなり恥ずかしい。
その危機を回避すべく、10才程度で自ら最速で鼻血を止める方法を編み出していたのだ。
今では、体調不良の兆候として鼻血を出してくれる手のかかる可愛い鼻の粘膜。
ありがとう。