「ドリーム」邦題変更騒動

9月29日公開予定の「ドリーム 私たちのアポロ計画(原題:Hidden Figures)」が、「ドリーム」へと改題される事になった。

羊頭狗肉か、嘘も方便か

記事によれば、改題する事になった原因はファンからの、「内容に即していない」などの批判だそうだ。

Amazonによると、原作書籍の発売日は、2016年の9月6日となっている。
また、アメリカでの劇場公開は同年の12月25日、さらに1ヶ月後から拡大公開の運びになっている。

未翻訳である原作小説のファン、もしくは国外で鑑賞済みの映画のファン、そして未読・未鑑賞のファンからの抗議は、さすがに想定していなかっただろう。

配給会社も、さぞかし驚いたのではないだろうか。

確かに、「内容に即していない」という指摘は、的を射ているようで、本作はマーキュリー計画なるものに焦点が当てられた作品らしい。
しかし、配給会社のコメントはこうだ。

「日本のお客様に広く知っていただくための邦題として、宇宙開発のイメージを連想しやすい『アポロ計画』という言葉を選びました」「ドキュメンタリー映画ではないので、日本のみなさんに伝わりやすいタイトルや言葉を思案した結果」

 どうだろう。個人的には、戦略の一つして大いにありだと思う。

 しかし、この騒動はTwitter上でメルフィ監督に尋ねる者が現れるところまで発展してしまい、邦題が変更される事になったようだ。

ちなみに、メルフィ監督は「私も何故こうなったのか分かりません。問い合わせてみますが、(邦題を)変更するにはもう遅すぎると思います。」と回答している。

監督自身は、怒髪天を突くといった様子ではないし、何より日本でもヒットしてくれるに越したことはないのだから、配給会社の戦略を批判するつもりはないだろう。 

 

実は、少し前にも同じく邦題に関して、批判が上がった作品がある。

マイティ・ソー バトルロイヤル」である。

こちらは原題を「ソー/ラグナロク」といい、北欧神話の中で描かれる最終戦争を下敷きにしている。

ラグナロクという言葉が、日本人の中でどれほど浸透しているか疑問が残るが、こちらも配給会社からすれば、ド派手なアクションものであるとアピールして、集客を狙ったのだと思う。

こちらは、邦題変更にまでは至っていないが、同じ問題と言える。

繰り返しになるが、個人的には配給会社の戦略として、全く問題ないと思っている。

SNSの怖さ

今やSNSは、ほとんどの人にとって日常になくてはならないものになったが、今回の様に、一個人の発言が、一企業に損害を与えるまでになってしまった。(炎上商法として最終的には、良い方向に転ぶ可能性はあるが。)

声の多少、そして大小に関わらず、意見が発信される事は、ある面では素晴らしいが、さすがにここまで来ると恐ろしく思う。

何かを批判すると言うのは、誰でもやってしまいがちだが、単なるクレーマーにならぬ様に、気をつけたいところだ。